だれでも年を取ると、物忘れが多くなります。
しかし多くのお年寄りの物忘れはそれほどひどく はなりませんが、中にはもの忘れがどんどん進んで認知症になる人がいます。 認知症の方のもの忘れは、健康なお年寄りの方のもの忘れとはちょっと違います。
たった今した ばかりの新しいできごと、とても大切なことまで忘れてしまうのです。
さっき会った人のこと、 いま食べたもののことさえ忘れてしまいます。
認知症がさらに進むと、自分の名前や子どもの こと、妻や夫が誰なのかもわからなくなってしまいます。
また、買い物やトイレの使い方、外出しても家への道もわからなくなってしまい、日常生活が 送りにくくなります。気持ちも動揺し不安定なものになってしまいます。
認知症はお年寄りの方だけがなる病気ではありません。わたしたちのおとうさんおかあさん、 おじいさんやおばあさんがならないとも限りません。
もし、わたしたちの 家族が認知症になったら、あなたはどうしますか?
家族全員で夕食を食べました。それなのにおじいちゃんは「わしはまだ夕食を食べていない。早く作ってくれ」とおかあさんにいいました。
「おじいちゃん、さっきみんなで食べたのに忘れたの?へんなおじいちゃん」と言う。
おじいちゃんは本当に夕食を食べていないと思っています。そこで「へんなおじいちゃん」と言われると落ち込んだり、怒ったりしてしまいます。
「さっき食べたよ」となにを食べたかを説明してあげる。
「さっき食べたよ」といってもおじいちゃんは食べたことを完全に忘れていますから思い出すことができません。なので説明してもわかりません。
おじいちゃんは認知症っていう病気だから、まだだったのということを聞いてあげる
「まだだったの」と聞かれると、自分の言っていることがわかってもらえたことに安心してうれしい気持ちになります。
 
認知症の人は本当にいましたことを忘れてしまい覚えていません。それが認知症の物忘れです。「へんだよ」なんかと責めずに、言っていることを受け入れてあげることが大切です。
おばあちゃんがトイレに間に合わず、廊下でおもらししてしまいました。
「だまっておかあさんやおとうさんを呼んでくる」
おばあちゃんが気持ち悪い思いをしないように、少しでも早く家族の人にいって着替えさせてあげましょう。
 
 
 
 
「きたな〜いっと思ってその場から立ち去る」
だれも好きでおもらしする人はいません。おばあちゃんも気持ち悪く、はずかしいと思っているかもしれません。きたないなどとは言わずに、自分で出来ることを考えてみましょう。
 
「どうしてトイレが間にあわなかったのか考えてみる」
おもらしをしたのには何か原因があるはず。足が痛くて急いでトイレに行けなかったのか、トイレに行ったら誰かが使っていてすぐに出来なかったのかなぁなどと、相手の気持ちになって考えることも大切です。
ある日おばあちゃんが「わたしのお財布がないの。おかあさんが盗んだのかしら」なんて、とんでもないことを言い出しました。
「おかあさんの味方になっておばあちゃんに説明する」
おばあちゃんは、おかあさんが盗んだと思いこんでいますから、説明してもなかなか理解してくれません。逆に家族が自分をいじめていると勘違いしてしまうかもしれません。
 
「おばあちゃんと一緒に財布をさがしてあげる」
一緒にさがしてくれることで、おばあちゃんも自分のことを信じてもらえたと感じ安心します。おばあちゃんが悪いと考えず、この病気がそうさせていると周りや家族ががまんしましょう。
病気とわかっていても、おばあちゃんのことを嫌いになる
おばあちゃんが一番つらいし、苦しんでいると思います。嫌いになんかならずに、おばあちゃんと病気のことをわかってあげてください。
 
 
おじいちゃんは昼間は家で将棋をしたり、本を読んだりしているのですが、夜中になると大声でおとうさんの名前を呼んだり、家の中をうろうろ歩きまわります。
「うるさいけど眠たいのでがまんする」
おじいさんも何か不安な気持ちをもっているかもしれないことをわかってあげてください。
 
うるさいので静かにしてと頼む
おじいさんも理由があって大声をだしているので、頼んでもなかなかわかってもらえないかもしれません。
たまには一緒に寝てあげる
隣で一緒に寝てあげると、おじいさんも落ち着いてぐっすりねられるかもしれません。
 
おばあちゃんは夕方になると、自分の家に帰るといって玄関から出て行こうとします。
玄関に鍵をかけて出て行けなくする
外に出る危険を考えると一つの方法かもしれませんが、おばあちゃんは知らない人の家に閉じこめられていると思うかもしれません。
 
 
一緒に散歩に誘う
良い方法かもしれません。でもお年寄りの方は眼や足が弱くなり、転びやすいですし、外に行くと交通事故などにも気をつけないといけませんので出来るだけお家のひとと一緒に行きましょう。
一緒に何かしようと誘う
おばあちゃんの好きなテレビを見たり、話をして気分転換をしてあげるといいかもしれません。